INTERVIEW: Her Self-nourishment

モデル 高山 都さん(後編)

Text&Edit: Eriko Azuma
Photo: Tomokatsu Noro<TRIVAL>

料理もファッションも、自分に引き寄せて楽しむ

Sayaka Tokimoto-Davis(以下Sayaka):インスタグラムで拝見する美しいお料理のファンなのですが、お料理は昔からお好きでしたか?

高山 都(以下高山):うちは両親が共働きで「自分のことは自分で」という家風だったので、料理は自然に身につきました。小さい頃は、母が作り置きしたご飯をそのまま食べてもよし、ちゃんと温めて素敵なお茶碗に盛るもよし。それが私にとっての選択だったのですが、1人でもお皿にきちんと盛りつけて、自分のために美味しい時間を持つことを大切にしていました。
20代の頃は忙しくお金もなかったので食生活も乱れていたのですが、30代を前にして自分の価値を自分で作ると決めた時、お料理も特技として発信していこうと思ったんです。見られることを楽しみだしたら、器とか、盛り付けとか彩りとか、いろんなことが楽しくなってきて。

Sayaka:お料理が好きなのが本当に伝わります。

高山:お料理もファッションと同じでバランスですよね。素材、デザイン、組み合わせをどうしていくかという構築作業が楽くて。正解もないし、美味しいという加減も人によって違う。明日のコンディションを整えたいから今日はできるだけ軽めにしておこうという時も、ただの節制ご飯じゃなくて、せっかくだから一番素敵なお皿を使おうかなとか。例えば1枚の黒いドレスにビーサンを合わせるのか、ヒールを合わせてジュエリーをつけるのか、シチュエーションやなりたいイメージでアレンジをするように、同じ感覚で料理も楽しんでいます。

Sayaka:インスタライブもよく拝見しているのですが、限られた時間で美味しいものを手早く作るとか、取り合わせを工夫されていたり、盛り付けがきれいだったり、本当に憧れます。うちは忙しいと一皿料理になってしまうことが多くて。

高山:いやいや、忙しい中で作っているご自身を褒めてください!私は本当に難しいことはしていないのですが、ちょっとした組み合わせ方や切り方ひとつ、調理法のアレンジ次第で、シンプルな料理もごちそうになったりしますよね。
ファッションも同じで、似合わない服も工夫次第で着こなしが変わります。例えば小柄だからロングドレスが似合わないと諦めるのではなく、丈を詰めてみるとか、ヒールを合わせてみたらどうかなとか、自分に引き寄せてしまえば、楽しくなるんじゃないでしょうか。

Sayaka:ファッションもお料理も、それをどう生かすか、どう楽しむかで全然変わってきますね。服選びに関して、ご自身のルールのようなものはありますか?

高山:バランスが良く見えることを大事にしています。いくら素敵なドレスを見てときめいても、体を入れた時にその自分が素敵に見えなかったらもったいないと思うんです。無理して着られているドレスもかわいそうだし、無理して着ちゃっている自分も滑稽に見える。だからサイズ選びや丈など、自分が似合うものを探して似合うように工夫することを大事にしています。なんか似合わないな、失敗しちゃったなという時は、ここをインすればいいんだとか、ベルトで隠しちゃおうとか、失敗から学ぶ次の方法を探したりもします。
Sayaka:失敗してもそこで終わらずに、考えて工夫されているんですね。

高山:何もしないで失敗だと思うのはもったいない。トライしてみてそれでも似合わなかったら手放す時なのかなと思います。大事にしていた服が似合わなくなる時ってありますよね。そういう時は誰か次の似合う人がいるはずだから、お嫁に出すこともあります。

Sayaka:お仕事柄、たくさんのお洋服を持っていらっしゃると思いますけど、そうやって循環させているんですね。新しい持ち主に繋げるって素敵ですね。

高山:大事な服は何年も大切に着ているし、1枚1枚に思い入れと愛がある。だから似合わなくなった時は、できれば顔が見える人に譲りたいと思っています。生み出すことを仕事にしている私たちは、生産と消費をやめられないけれど、1枚のお洋服を大事に愛して次の持ち主に繋げられたら、生み出されたものは長く生きていけますよね。
私は買い物が大好きだし、それが喜びであり勉強でもある。だから無駄にするのではなく、たくさん楽しんで満足したら、セカンドオーナーに譲って循環させていきたい。変わらず好きなもの、似合うものは何年も愛用していますし、Sayakaさんのお洋服は本当に大好きで、毎シーズン大切に着ています。

Sayaka:いつも大切に素敵に着てくださってありがとうございます。

高山:Sayakaさんと身長が同じこともあり、丈の長さとかサイズ感がすごくしっくりくるんです。マキシドレスって、今までは背が低い人には手が届かない存在だったと思うんですけど、Sayakaさんのドレスは、小柄な人がマキシ丈をその人らしく堂々と着られる感じがすごくいい。女性らしいけど強さもあって、本当にずっと好き。毎シーズン素敵な新作も楽しみなのですが、新作だけでなく今までのコレクションもすべて、また次の季節も着たいし、何年も着続ける喜びを感じさせていただいています。

Sayaka:そう言っていただけて本当にうれしいです。ブランドを始めて10年になるんですが、私自身10年前に作った服をずっと着ています。もちろん新しいものは作るんですけれど、普遍的に魅力を感じられるもの、自分が変化してもまた新しい形で楽しめるようなものを作れた時が一番うれしいですね。

ランニングと料理は、ニュートラルな自分に戻るスイッチ

Sayaka:お忙しい日々の中、ご自身のバランスをとるためにされていることはありますか?

高山:走ること、自分のために料理を作ることでしょうか。自分のバランスをとるために、あえてちょっと負荷をかけることを大事にしていて、そういう意味ではランニングと料理は似ていて、ぶれていた自分の針をニュートラルに戻してくれるんです。
走る時間は決めていないのですが、仕事前に朝走ると、スイッチが入ってしゃきっとエネルギーに満ちた状態で現場に向かえる。逆に夕方に走る時は抜くイメージ。アドレナリンが出た状態で仕事から戻って来ても、走っているうちにすっきりして、外の高山 都から個人の高山 都に戻る感覚があります。走って走って、さあご飯作るか!みたいな。

Sayaka:今日は走りたくないとか、そんな時は?

高山:そういう時は無理しません。やらされるのが苦手で、自分で決めたことも、やらされていると思うと嫌になるんです。自ら動くのは楽しいけれど、「やらなきゃいけない」になるのはすごく嫌。だからやる気がおきないときは、潔く諦めます。忙しいと走る時間さえ確保できないことも多いので、そういう時はできないことにフォーカスするのではなくて、次いつできるかな、それをわくわく楽しみに頑張ろうって思うようにしています。

Sayaka:都さんは、自分をバランスよく保つ達人ですね。確かにできなかったと思うと負の感情になってしまいますね。

高山:そうなんです、負の感情になってしまうともったいない。ニュートラルな状態が一番いいから、プラスもマイナスも知ったうえで、今はここ。という場所に針をおける自分でいたいと思っています。

Sayaka:私もそういうバランスを見つけたい。自分への声がけを意識してみようと思います。

高山:意外と力を抜いたほうが上手にできることもありますよね。例えばお料理も、気合いを入れて頑張りすぎると、ひとつの失敗からガタガタ崩れて、こんなはずじゃなかった。という結果になることもありますが、適当に始めたら、すごく美味しくできちゃう時もありますよね。特に真面目な人って頑張りすぎちゃうから、力みすぎないということを意識すると、上手に生きやすくなるのかもしれません。

Sayaka:確かにそうですね。デザインでも、力みすぎているとすごく真面目なものとか固いものになってしまったりします。ちょっと遊びというか余裕があるほうが面白いものができたりするから、大事ですね。上手に抜くこと。

高山:私は余白をすごく大事にしています。余白がないと煮詰まってしまいますが、余白があればその中で、チャレンジしたり工夫したりできる。それが「抜く」という感覚に近い気がしています。 だからたまに思い切ってお休みを作るようにしています。インプットもアウトプットもできないくらいに忙しくなると、結果何も生まれなくなるから、そういう時は思い切って休む。立ち止まって本当に必要なこと、やりたいことを考えるようにしています。
人にはキャパシティがあって、キャパオーバーって本当に大変だし結果人に迷惑をかけてしまうということを、心身のバランスを崩してしまった時に体験しました。だからそうなる前に、一度立ち止まって優先順位を整理しようと思うようになりました。

どうしたら機嫌よくいられるか、その術を知っておく

Sayaka:都さんのモットーのようなものはありますか?

高山:「笑っていれば風向きは変えられる」という言葉を座右の銘のように大事にしています。辛いことや困難に直面した時も、笑うことを忘れなければ追い風は誰にだって吹く。自分自身も大事にしているし、自分が大事にしている人がしんどい時に、お守りの言葉みたいな感じで伝えたりしています。
あとは日々できるだけいっぱい笑って免疫力を上げる。体だけじゃなくて心の免疫もどんどん上げていかなくちゃと思っています。心身ともに健康で、心の免疫状態があがっていれば、ちょっとやそっとのネガティブには引っ張られない。自己免疫がしっかりしていたら嫌な渦にも巻き込まれないし、情報も自分で選んでいけると思うんです。

Sayaka:生活の中で、ご自身の免疫アップに繋がっていることは何でしょうか?

高山:できるだけ美しいものに触れること。朝露や雨に濡れた花を見ることがランニング中の楽しみなのですが、色っぽくて強くて、ああきれい、生きているなと実感します。家を心地よい空間に整えることもそうですね。正解かどうかではなく、私が私らしくいるために好きなものを置いています。今は二人暮らしになったので、お互いに思いやりを持って空間を心地よく保つことを大事にしています。どうやったら自分が機嫌良くいられるか、その術を知っておくことが心の免疫アップにつながるんじゃないでしょうか。
Skip to content