INTERVIEW: Her Self-nourishment

モデル 高山 都さん(前編)

Text&Edit: Eriko Azuma
Photo: Tomokatsu Noro<TRIVAL>

彼との出会いが、大切な原点に立ち戻らせてくれた

Sayaka Tokimoto-Davis(以下Sayaka):ご結婚おめでとうございます!いつも都さんの美味しそうなご飯を、どんなラッキーな男性が食べているんだろうと思っていました(笑)。ご結婚を知った時はすごくうれしくて、幸せのお裾分けをいただいたような気持ちでした。ご結婚されて、暮らしぶりや心境の変化はありましたか?

高山 都(以下高山):それが全然変わらなくて。食べることとか寝ることとか休むこととか、彼とは、生活のリズムや価値観が似ていると、結婚前から感じていました。彼と出会ったことで、そのシンプルな価値観を思い出したというか、きちんと「生活する」ということに改めて立ち戻ることができた気がします。
もともと食べること、丁寧に暮らすことを大事にしていたつもりだったのですが、仕事が忙しくなるにつれ優先順位が仕事で占められてしまい、気がつけば自分の生活が疎かになっていました。その結果いつの間にか心身のバランスを崩してしまい、不眠症が悪化して病院に通っていたんです。自分で自分を立て直さなくちゃいけないなと思っていた頃に彼に出会いました。すごく素朴で普通の感覚を持った人で、食べること、休むこと、そういう当たり前のことに幸せを感じることを思い出させてくれたんです。
彼と出会ったことで、本来大事にしていたこと、自分の基盤になるようなものを取り戻せたという感覚で、それはお付き合いしている時から感じていました。

Sayaka:結婚して変わったというよりは、出会いがもたらした変化が大きかったんですね。お話を聞いていると、一緒にいることがすごく自然で、幸せそうな感じが伝わってきます。いいですね、幸せの伝染。

高山:悪いことも伝染しやすいけれど、いいことも伝染する。それならポジティブな気持ちを発信していったほうが気持ちいいですよね。日本ってどうしても謙遜の文化だけど、SAYAKAさんが住んでいるNYや世界的には、幸せとかリスペクトとか、好きという感情をしっかり声に出して、自分にも相手にもきちんと宣言している。それって素敵だなと思うし、私もできるだけそうありたいなと思っています。

一方的ではなく、シェアする発信力

Sayaka:日本ではネガティブなことをシェアしにくい空気感がある中で、通院していた辛い時期があったこともシェアしているのが、都さんの素敵なところ。自分の弱い部分を見せるのって勇気がいると思うんです。
ご自身の中でインスタグラムなどのソーシャルメディアのコミュニケーションの取り方が変わったタイミングってありますか?

高山:10年前から5年間くらい、週に5日ラジオの生放送をやっていたんです。ラジオってながらの文化だから、残業しながらとか、車を運転しながらとか、いろんなシチュエーションで聞いているリスナーさんがいて、その人たちにどうやったら私の言葉が届くかなと、伝え方についてすごく勉強させていただきました。
ただ一方的に原稿を読んだり曲をかけるんじゃなくて、どうやったら聴いている人に伝わるかな、どんな表現を選べば、見えない電波の上で会話のラリーが心地よく続くかな。ということを意識していました。そこからソーシャルメディアでも、言葉選びにこだわったり、表現したりすることが楽しくなった気がします。
例えば旅行の話にしても、ただいいな、うらやましい。と思われるのではなく、情報をシェアすることによって「自分にはまだ知らない世界があるんだ、行ってみようかな」と誰かを動かすきっかけになることもできる。お料理だったら「ねえ、これ一口食べてみて、めっちゃ美味しいよ」って目の前にいる友達に伝えるような感覚で伝えられたらなと思っていて、一方的ではなく、見てくれている皆さんに、「自分だったらどうするかな、やってみたいな」と思っていただけるような、情報のシェアを心がけています。

Sayaka:なるほど、ラジオでの経験が生きているんですね。インスタグラムを拝見していると、都さんの言葉は本当に距離が近く感じるし、いつも素敵な言葉に励まされています。

高山:伝えるってすごく難しいけれど面白い。たった一言で誰かの人生が変わるかもしれないから、ポジティブな表現を選びたいと思うんです。

足りないものを補って個性に変える

Sayaka:自分軸をしっかりと持っている方だなと思うのですが、そういう考え方は昔からですか?年齢とともに培われたものなのでしょうか?

高山:子供の頃から「私は私」という考えが強い子でした。例えば女子が揃ってトイレに行くのを、なんでみんなで一緒に行かなくちゃ行けないの?と思っていて「私は今行きたくないしみんなで行く理由がわからない」とはっきり言っちゃうタイプだったので、小学校の頃は仲間はずれにされたこともあります。
洋服も流行っているから、みんなが着ているからではなくて、流行っていても自分に似合わなかったら別のものを選びますし、そういう考え方は昔から変わらないかな。
特に今はトレンドのサイクルが早くて、その中にいると自分も消費されているように感じてしまう。消費に飲まれてしまうと自分がすり減っていくようで楽しくないから、意志を持って消費されることを意識しています。アンパンマンの顔みたいなイメージで、すり減るのではなくシェアしているという感覚でいたいと思っています。顔がなくなったらまた作ってもらって、また頑張るぞという感覚ですね。

Sayaka:高山さんの発信力の元になっているものは何なのでしょう?

高山:私の世代は、モデル=こうあるべきっていう像が強かったので、背が高くないこと、あるべき像に当てはまらないことに強いコンプレックスを抱いていたんです。20代後半くらいから、ただ選ばれるのを待っているのではなくて、選ばれるための付加価値をつけていこうと思いました。足りない部分を自分で補って個性にしてしまえば自分の椅子はあるんじゃないかなって。
ちょうどそのころSNSも流行りだしたので、自分の発信の場にしていこうと思いました。今までだったら雑誌などの限られたメディアで、しかも受け身の立場で、呼ばれないと居場所がなかったけれど、自分で自分の場所を作って、それを誰かに見てもらえたらいいなと思ったんです。「自分の椅子は自分で作るしかない」という、そんな感覚でしたね。

(後半に続く)
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